『ネクロポリス』恩田陸
朝日新聞社
読了!
いやー面白かった!…ラスト以外は。
あ、ネタバレあるかもなので、注意してください。
下巻の300ページ目までは完璧に面白い。
300ページ以降は最低につまらない。
もう300ページ以降ぶっちぎって出版してくれ。それでいい!
あらすじはこんな感じ。
元イギリス植民地(たぶん)のV.ファーという島国。
日本からの移民もあって
(というのも、日本はイギリスに戦争で負けて属国になってたらしい)
英国と日本が混ざりあったような文化を形成している辺境の国。
母国語はほとんど英語らしい。
ここV.ファーには毎年「ヒガン」というイベントがあり、
ある時期にアナザー・ヒルという閉鎖された土地で、死者と会うことができる。
諸外国からは、ほとんどその真実が把握されておらず、ほぼトリックか「集団ヒステリー」のように扱われている。
過去の経緯もあり、V.ファーの国民以外の侵入を厳しく制限しているアナザー・ヒルだが、東大で文化人類学を専攻するジュンイチロウは、親類の伝手を頼って、ヒガンに参加が許される。
その年のアナザー・ヒルは、大きな殺人事件があったせいで、
いつもよりざわついていた。
そこで起きる最初の異変…。
私が勝手に作っている「恩田陸分類」としては、
この本は『木曜組曲』『ネバーランド』『黒と茶の幻想』などに連なる「合宿モノ」。
私はこの「合宿モノ」が大好きで、恩田陸が描くとにかく毎晩皆が飲んだり食べたりしゃべったりする光景が大好きなのです。
ファンタジーにミステリにホラーを全て詰め込んだお祭り騒ぎのような本。
設定だけでゾクゾクしちゃうほど魅力的。
死者「お客さん」は嘘をつくことができないので、死者の発言は公的な記録となりその記録を義務づけられている。とか、
もう素敵すぎ〜。詰め込みすぎ〜。
アナザーヒルという土地とV.ファーの国民性のおかげで
全ての事件が、恐ろしさや不気味さよりも皆の謎解きや討論や好奇心の対象になって、
酒の席の話題とゴシップに早変わりするあたりが楽しい。
各章タイトルは村上春樹を彷彿とさせる。
「アナザー・ヒル行きスロウ・ボート」とか「卵とオムレツと猫に関する問題」とか。
個人的にはV.ファーの由来が気になる。
閉鎖された町、数件あるパブ、パブの二階の隠されたレストラン、家で食べるポトフと酒、夜になって始める宴、終わらないおしゃべり、湖に浮かぶ何十隻ものナローボートの中のくつろぎ、
「ハンドレッドテールズ」…。
恩田陸が好きな要素を詰め込んだ、非常に読みごたえのあるお話。…ラスト以外は。
というか、なんでここまで完全なエンターテイメントを作っておきながら、あのラストになるのか…。
ここまでラストが毎回破綻していると、考察したくなってしまう。
もしかして真実のラストはどの本も別に作ってあって、著者の死後まとめて発表される!!とかさ。
今回も、読んでいていきなり、のめり込んでいた世界から振り落とされる瞬間が来る。
いきなり作りが粗雑になり、丁寧に作ってきた世界や謎をぶち壊すかのような荒唐無稽な展開が始まる。
最後はいきなり黒幕が現れて、ほんの数ページで事件の謎と答えと解決策(超稚拙)を適当に語り、行方不明の人物をぽいと連れてきて、何のカタルシスもなく終わる。
でも、今回はそれが許せるくらい面白い。
追記:V.ファーはヴィクトリア・ファー・イーストのよう
(「恐怖の報酬日記」より)
「ヴィクトリア女王時代に日本がイギリスの植民地になっている世界で、日本人とイギリス人が作った島国を舞台にした話だ。
国の正式名称はヴィクトリア・ファー・イースト。略してV.ファー。」
朝日新聞社
読了!
いやー面白かった!…ラスト以外は。
あ、ネタバレあるかもなので、注意してください。
下巻の300ページ目までは完璧に面白い。
300ページ以降は最低につまらない。
もう300ページ以降ぶっちぎって出版してくれ。それでいい!
あらすじはこんな感じ。
元イギリス植民地(たぶん)のV.ファーという島国。
日本からの移民もあって
(というのも、日本はイギリスに戦争で負けて属国になってたらしい)
英国と日本が混ざりあったような文化を形成している辺境の国。
母国語はほとんど英語らしい。
ここV.ファーには毎年「ヒガン」というイベントがあり、
ある時期にアナザー・ヒルという閉鎖された土地で、死者と会うことができる。
諸外国からは、ほとんどその真実が把握されておらず、ほぼトリックか「集団ヒステリー」のように扱われている。
過去の経緯もあり、V.ファーの国民以外の侵入を厳しく制限しているアナザー・ヒルだが、東大で文化人類学を専攻するジュンイチロウは、親類の伝手を頼って、ヒガンに参加が許される。
その年のアナザー・ヒルは、大きな殺人事件があったせいで、
いつもよりざわついていた。
そこで起きる最初の異変…。
私が勝手に作っている「恩田陸分類」としては、
この本は『木曜組曲』『ネバーランド』『黒と茶の幻想』などに連なる「合宿モノ」。
私はこの「合宿モノ」が大好きで、恩田陸が描くとにかく毎晩皆が飲んだり食べたりしゃべったりする光景が大好きなのです。
ファンタジーにミステリにホラーを全て詰め込んだお祭り騒ぎのような本。
設定だけでゾクゾクしちゃうほど魅力的。
死者「お客さん」は嘘をつくことができないので、死者の発言は公的な記録となりその記録を義務づけられている。とか、
もう素敵すぎ〜。詰め込みすぎ〜。
アナザーヒルという土地とV.ファーの国民性のおかげで
全ての事件が、恐ろしさや不気味さよりも皆の謎解きや討論や好奇心の対象になって、
酒の席の話題とゴシップに早変わりするあたりが楽しい。
各章タイトルは村上春樹を彷彿とさせる。
「アナザー・ヒル行きスロウ・ボート」とか「卵とオムレツと猫に関する問題」とか。
個人的にはV.ファーの由来が気になる。
閉鎖された町、数件あるパブ、パブの二階の隠されたレストラン、家で食べるポトフと酒、夜になって始める宴、終わらないおしゃべり、湖に浮かぶ何十隻ものナローボートの中のくつろぎ、
「ハンドレッドテールズ」…。
恩田陸が好きな要素を詰め込んだ、非常に読みごたえのあるお話。…ラスト以外は。
というか、なんでここまで完全なエンターテイメントを作っておきながら、あのラストになるのか…。
ここまでラストが毎回破綻していると、考察したくなってしまう。
もしかして真実のラストはどの本も別に作ってあって、著者の死後まとめて発表される!!とかさ。
今回も、読んでいていきなり、のめり込んでいた世界から振り落とされる瞬間が来る。
いきなり作りが粗雑になり、丁寧に作ってきた世界や謎をぶち壊すかのような荒唐無稽な展開が始まる。
最後はいきなり黒幕が現れて、ほんの数ページで事件の謎と答えと解決策(超稚拙)を適当に語り、行方不明の人物をぽいと連れてきて、何のカタルシスもなく終わる。
でも、今回はそれが許せるくらい面白い。
追記:V.ファーはヴィクトリア・ファー・イーストのよう
(「恐怖の報酬日記」より)
「ヴィクトリア女王時代に日本がイギリスの植民地になっている世界で、日本人とイギリス人が作った島国を舞台にした話だ。
国の正式名称はヴィクトリア・ファー・イースト。略してV.ファー。」
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